
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
🦷インビザとブラケット、治る“過程”が違う=仕上がりに差が出ることも
2025年07月4日
🦷インビザとブラケット、治る“過程”が違う=仕上がりに差が出ることも
まず前提として、両方の治療法ともに“歯を動かす”という点では共通していますが、
その“動かし方”に違いがあります。
ブラケット矯正は「押して・引っ張って」歯を動かす治療
インビザラインは「段階的に歯の位置を移動させていく」治療
この違いにより、得意な動き・苦手な動きが存在し、それが仕上がりに影響することがあります。
✅1. 微調整の自由度=ブラケットがやや有利
治療の最後に近づくと必要になるのが“微調整”です。
項目 | インビザライン | ブラケット矯正 |
---|---|---|
微調整のしやすさ | やや制限あり(再スキャンや追加設計が必要) | その場でワイヤーを調整できるため柔軟 |
難しい動き | 回転、挺出、奥歯の細かい位置調整 | 全般的に対応しやすい |
インビザラインでもリファイン(再設計)を丁寧に行えば高精度は可能ですが、
「やりやすさ」という点ではブラケットが一歩リードです。
✅2. 奥歯のコントロールと咬み合わせの安定性
インビザラインは、奥歯の横ズレや回転をコントロールするのが少し難しいこともあります。
ブラケット矯正では、咬み合わせをしっかり調整しながら動かすことができ、治療後の安定性や細かい咬合調整にも向いています。
✅3. 笑顔・顔立ちへの影響は?
意外と気づかれにくいですが、仕上がりには見た目の印象=スマイルラインや横顔にも違いが出ることがあります。
インビザラインはアーチを広げやすいため、バッカルコリドー(奥の黒い空間)が目立たなくなり、笑顔が明るく見える傾向に。
ただし、設計が甘いと前歯が出すぎたり、引っ込みすぎたりして横顔に違和感が出ることも。
👉 こうした“顔全体のバランス”を考慮した設計が、仕上がりの差に大きく関わります。
✅4. 治療後の安定性や後戻りは?
インビザは「取り外し可能」な分、患者さんの装着時間に大きく左右されます。
一方ブラケットは強制的に装着されているため、計画通りに進みやすく、後戻りしにくいとも言われます。
✅結論:大事なのは「方法」より「設計と技術」
ここまで読んで、
「やっぱりブラケットのほうが良いの?」
と思った方もいるかもしれませんが……
実は、仕上がりの差を大きく左右するのは、“どの装置か”ではなく、“誰がどう設計するか”という部分です。
✔️ インビザラインでも、丁寧な設計とリファインで非常に精密な仕上がりが可能です。
✔️ ブラケットでも、力のかけ方を誤れば理想の仕上がりにはなりません。
💬当院の考え方
当院では、インビザラインでもブラケットでも、最終的な“仕上がりの質”にこだわって設計・治療を行っています。
患者様の骨格や顔立ち、希望をしっかり反映した治療計画を立てることで、どちらの方法でも納得いただける結果を目指しています。
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📚参考文献
Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics, 6th ed. Elsevier, 2018.
Kravitz ND, et al. “How well does Invisalign work? A prospective clinical study evaluating the efficacy of tooth movement with Invisalign.” Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009;135(1):27–35.
Hayashi K, et al.「マウスピース型矯正装置とブラケット矯正治療の比較」日本矯正歯科学会誌, 2021.