
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
矯正用アンカースクリューってなに?
2025年07月4日
「矯正でネジを打ちますね」
初めてそう聞いたとき、「えっ!?ネジ!?それって大丈夫なの!?」と不安になった方もいるのではないでしょうか?
今回は、最近よく使われるようになった【矯正用アンカースクリュー】について、
どんなものなのか?どこに使うのか?痛くないの?など、患者さんが気になるポイントをやさしく解説していきます!
🪛矯正用アンカースクリューってなに?
アンカースクリューとは、歯ぐきの骨に小さなネジを一時的に埋め込むことで、歯を動かす“固定源”をつくる道具のことです。
「TAD(Temporary Anchorage Device)」とも呼ばれます。
インプラントと名前が似ていますが、あくまで一時的に使う小さなネジで、役目が終わればすぐ外します。
🤔なんのために使うの?
矯正治療では、歯を動かすときに「支えとなる歯」が必要になります。
ですが、動かしたい方向によっては奥歯が一緒に動いてしまったり、力のバランスが崩れたりすることも。
そんなとき、アンカースクリューが**「動かしたい歯だけをピンポイントで動かせる」**ようサポートしてくれます。
👄どこに打つの?痛くないの?
通常は、上あごや下あごの歯ぐきの骨に1本〜数本、2mm〜3mmほどの小さなネジを打ち込みます。
💉痛みは?
施術前にしっかりと局所麻酔を行いますので、打つときの痛みはほとんどありません。
術後も、軽い違和感や圧迫感はあるものの、強い痛みになることはまれです。
🧼お手入れや注意点は?
スクリュー周囲は、柔らかめの歯ブラシで丁寧に清掃しましょう。
衛生的に保つことで、腫れや炎症のリスクを下げることができます。
⏳いつ外すの?あとが残らないの?
治療に必要な期間(通常は数ヶ月〜1年程度)が過ぎたら、院内で簡単に取り外すことができます。
麻酔なしでも外せることが多く、処置は数分で終了。
外したあとに目立った傷跡が残ることもほとんどありません。
👥アンカースクリューを使うのはどんなとき?
以下のようなケースで、使われることが多いです👇
✅ 抜歯後、前歯をしっかり引っ込めたい
✅ 奥歯を動かさずに前歯を動かしたい
✅ ガミースマイルを改善したい
✅ 歯列全体を効率よくコントロールしたい
つまり、従来よりも「精密で、効率の良い動き」が可能になるのが強みなんです!
💬当院では…
当院では、必要な症例に応じてアンカースクリューを提案しておりますが、決して全員に使うわけではありません。
骨の状態や動かしたい歯の位置などを診断したうえで、「使った方がベスト」と判断した場合のみご案内しています。
📚参考文献
Chen YJ, Chang HH, et al. “A retrospective analysis of the risk factors associated with failure of mini-implants used for orthodontic anchorage.” The International Journal of Oral & Maxillofacial Implants, 2007.
石川 知弘ほか. 「矯正用アンカースクリューの臨床応用」. 日本矯正歯科学会誌, 2015.
Wilmes B, et al. “Mini-implants for temporary skeletal anchorage in orthodontics: A review.” J Orofac Orthop, 2010.
🎯まとめ
矯正用アンカースクリューは、「えっ、ネジ!?」と驚かれることが多いですが、
実はとても小さく、安全で、強力なサポート役。
症例によっては、よりスムーズに・よりきれいに仕上がる手助けをしてくれます。
ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね😊