
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
🌏 アジア人の笑顔は“引き算”がカギ?
2025年06月23日
欧米は“足し算”スマイルってどういうこと?
「歯を広げて、白く整えて、明るく笑う――」
これがよくある欧米の“ハリウッドスマイル”。
でも、日本人を含むアジア人にとって、
同じアプローチが“理想の笑顔”になるとは限らないんです。
実は、笑顔づくりには“人種ごとの骨格差”が大きく関係しています。
今回は、
🔹 なぜ欧米人とアジア人で「美しい笑顔」の作り方が違うのか?
🔹 引き算スマイル/足し算スマイルとは?
🔹 マウスピース矯正ではどう設計を変えるべきか?
についてわかりやすく解説します🦷✨
✅ 欧米の“足し算スマイル”とは?
欧米人(特に白人系)の顔立ちは、一般的に以下のような特徴があります:
顎が大きく横に広い
鼻が高く、顔に立体感がある
口元は後退ぎみで平らではない
歯列も広く、笑うと奥歯まで見える
こうした骨格を活かして、
👉 歯を白く・大きく・広く並べる
👉 バッカルコリドー(口角の黒い影)を減らす
👉 スマイルアーチ(歯列の曲線)を強調
と、“笑顔をより大きく見せる”方向へ設計されるのが主流です。
これがいわゆる**「足し算スマイル」**の考え方。
ハリウッドスマイルに代表される、華やかで健康的な印象が評価される文化です✨
✅ アジア人は“引き算スマイル”が美しい?
一方で、アジア人(日本・中国・韓国など)は次のような傾向があります:
顎が小さく、顔が平面的
骨格的に口元が前に出やすい(いわゆる“口ゴボ”)
歯列が狭く、バッカルコリドーが出やすい
微笑みが好まれ、“あまり歯を見せすぎない”文化も
こうした顔立ちに欧米のスマイル設計をそのまま当てはめると…
👉 口元がモコっと前に出て見える
👉 顔全体が間延びして見える
👉 上品さ・自然さを損なう
といったリスクが出てしまうことも。
そのためアジア人には、
・口元のボリュームを減らす(=引き算)
・歯列を必要以上に拡げない
・横顔やEラインとのバランスを大切にする
といった、“引き算”のスマイルデザインが理にかなっているのです。
✅ マウスピース矯正で気をつけたいポイントは?
マウスピース矯正(インビザライン・エンジェルアラインなど)では、
欧米の“広く・白く・見せる”設計がデフォルトになっていることが多いです。
でもアジア人には、そのまま使うと違和感が出ることも。
そこで大切なのが:
💡 設計時に配慮すべきこと
ポイント | アジア人に多い設計調整 |
---|---|
歯列拡大 | 必要最小限にとどめる |
前歯の位置 | 後方移動(レトラクション)で引き締め感 |
スマイルライン | 笑顔で見える歯の量を調整 |
顎との調和 | 横顔(Eライン)とのバランス重視 |
つまり、「ただ並べる」だけではなく、
“自分の顔立ちに合った笑顔”をつくるためのデザイン力が問われるということです🧠
✅ 世界中で選ばれているからこそ、「あなたに合う設計」が必要
マウスピース矯正は、国籍・人種を問わず使える素晴らしい治療法です。
でも、“誰にでも同じやり方で”ではなく、
あなたの顔立ちや文化に合ったゴール設定がとても大切です。
🌸「欧米みたいな笑顔になりたい!」
もOK。
🎋「日本らしい自然な笑顔が理想」
もOK。
大事なのは、「誰かの正解」ではなく、
“あなたに似合う笑顔”を一緒につくることです😊
無料のカウンセリングはこちらのLINEからでも可能です🦷
📚参考文献
Ioi H. et al. “Smile aesthetics: Perception and preference in Japanese and Western populations.” Orthod Waves, 2011.
Sarver DM. “The importance of the smile in facial aesthetics.” Am J Orthod Dentofacial Orthop, 2004.
Lee M. “Cultural differences in perception of facial esthetics.” J Esthet Restor Dent, 2019.
日本矯正歯科学会「顔貌と口元の審美に関する日韓比較調査」2020年