
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
🦷 歯の大きさって人種で違うの?
2025年06月22日
~アジア人の矯正が難しい理由とは~
「歯並びが悪くなるのって、顎が小さいからですよね?」
確かにそれも正解ですが、もうひとつ忘れてはいけない要因があります。
それが
――歯の大きさ。
実はこの“歯そのもののサイズ”にも、人種ごとに明確な傾向があるってご存じですか?
今回は、アジア人・欧米人・アフリカ系の比較を通して、
「なぜアジア人には矯正治療が必要になりやすいのか」
「マウスピース矯正ではどう対応していくのか」
をやさしく解説します💡
✅ 歯って、大きさ違うの?
歯のサイズは主に「歯冠幅径(しかんふくけい)」
――つまり、歯の見えている部分の横幅で比較されます。
実際にさまざまな研究で、
人種によって歯の大きさには明確な違いがあることが分かっています。
✅ 人種ごとの歯のサイズの傾向
人種 | 歯の特徴 | 矯正への影響 |
---|---|---|
アジア系(日本・中国・韓国など) | 歯が小さめ。顎も狭い | スペースが足りず、ガタガタ(叢生)になりやすい |
白人系(欧米) | 中程度の歯の大きさ。やや細長い形状 | 拡大や非抜歯矯正がしやすい |
アフリカ系 | 歯が全体的に大きく、幅広い | 顎も広く、自然に並ぶことが多いが、隙間ができるケースも |
📌特にアジア人は、顎が小さいのに歯がそれなりに大きいという「不利なバランス」があるため、
叢生(でこぼこした歯並び)や出っ歯になりやすいとされています。
✅ 歯が大きいと、矯正はどうなる?
単純に「歯を並べたい!」と思っても、
歯が大きければその分“並べるスペース”が必要です。
でも日本人のように顎が狭い場合、
✅ 抜歯をしてスペースを作る
✅ 歯列を少し横に拡げる
✅ 歯の側面をわずかに削る(IPR)
など、「何らかのスペース確保の工夫」が必要になります。
✅ マウスピース矯正ではどう対応するの?
インビザラインやエンジェルアラインなどのマウスピース矯正では、
「歯を動かす順序」や「スペース確保の方法」を緻密に設計することで、
歯が大きくてもキレイに並べることが可能です。
具体的には:
🔹 歯列の拡大(エクスパンション)
→ 顎の幅を少し広げて、スペースを作る
🔹 IPR(ディスキング)
→ 歯と歯の間を0.1~0.3mmほどやさしく削って調整
🔹 必要なら抜歯
→ 特に口元が出ている場合は、抜歯の方が仕上がりが美しくなるケースも
どれを選ぶかは、顔立ち・骨格・口元の印象までトータルで考える必要があります🧠
📌まとめ:「歯が大きい=矯正が必要」はアジア人あるある
歯のサイズは人種によって異なります
アジア人は「顎が小さく、歯が相対的に大きい」ため、ガタガタしやすい
矯正では、スペースをどう作るかが最大のポイント
マウスピース矯正でも、適切な設計と計画で美しい仕上がりは可能!
🦷 「歯が大きいからしょうがない」とあきらめず、
あなたの口元に合った最適な方法を選びましょう✨
まずは専門医による無料相談で、あなたの歯のサイズや顎とのバランスをチェックしてみませんか?
📚参考文献
Lavelle CL. “A study of tooth size discrimination in four human populations.” Arch Oral Biol. 1972.
Iizuka T, et al.「日本人における歯冠幅径と叢生との関係」日矯歯会誌 2015.
Smith RN et al. “Tooth size and dental crowding in humans.” Eur J Orthod. 2010.
Proffit WR, Fields HW. Contemporary Orthodontics, 6th ed. Elsevier, 2018.