
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
🦷矯正後の顔つきが変わるって本当?
2025年06月29日
見た目の変化と“心のギャップ”に寄り添うということ

「矯正をしてから、顔の印象が変わったね」
患者さんが治療を終えて一番多く耳にするのが、そんな“見た目の変化”に関する言葉です。
本来、歯並びが整い、口元の突出感がなくなってくると横顔やフェイスラインがスッキリして、より美しく健康的な印象になるとされています。
実際、矯正治療をきっかけに自信がついたり、人前で笑えるようになったという方もたくさんいます。
けれど一方で、こんなふうに悩む方が少なくないのも事実です:
「引っ込みすぎて、自分の顔じゃないみたい…」
「老けた気がする…友達に『雰囲気変わったね』って言われてショックだった」
「きれいになったのに、なぜか気持ちが追いつかない」
この“ギャップ”は、決してわがままでも贅沢な悩みでもありません。
見た目の変化と、心の準備のズレが生む、とても人間らしい揺らぎなのです。
🔍矯正後の「顔つきの変化」はなぜ起きるのか?
矯正によって歯列が整うと、さまざまな顔貌変化が生じます。
① 横顔がすっきりする
特に口元が出ていた人(上下顎前突など)では、前歯が後退することで唇も引っ込み、横顔のライン(Eライン)が整います。
② 頬まわりがシャープに
咬合が整うことで、咬筋や表情筋のバランスが変わり、ほお・口角・あご下のラインがシャープに見えることも。
③ 表情や笑顔が変わる
噛み合わせが安定することで、自然な笑顔になりやすくなり、歯ぐきの見え方や口元の開き方も変化します。
これらはすべて“良い方向の変化”として設計されたものですが、「見た目の変化=本人の納得」ではないという点が、心理的なギャップの原因になります。
💬「自分らしさ」とのズレが生む“心の違和感”
患者さんが「違和感がある」と感じる背景には、長年付き合ってきた“自分の顔”とのギャップがあります。
特に大人の矯正では、すでに完成された自己イメージがあるため、それが崩れると強い不安や戸惑いにつながることも。
こんなケース、ありませんか?
Before→Afterの写真を見比べて、他人のように感じる
治療前に“突出してるのが嫌”と言っていたのに、引っ込んだら違和感を訴える
職場や家族の反応が予想と違って落ち込んでしまう
このような“ズレ”が生じる背景には、単なる美的変化だけではなく、自己認識・社会的認知・周囲との関係性が複雑に絡んでいます。
📚研究から見る「見た目の変化」と「心理的影響」
矯正後の顔貌変化に関する研究では、見た目の改善は自己肯定感や社会的自信の向上につながることが多いとされています。
✅ 成人患者における心理的変化の研究(BMC Oral Health, 2024)
「矯正治療中・治療後における不安感・自尊心・社交性の指標が、すべて有意に改善した」
👉 多くの人が、治療の完了と同時にポジティブな変化を実感している
✅ 顎変形症患者における心の変化(J Jpn Coll Oral Maxillofac Surg, 2020)
「手術をともなう大きな顔貌変化後、7割以上が“今の自分の顔に満足”と回答」
👉 ただし、「慣れるまでに半年以上かかった」という声も多く、時間をかけて受け入れていくプロセスも重要とされている
🛠“ギャップ”を小さくするために、私たちができること
矯正治療は「ゴールのある旅」です。
でもそのゴールは、単に“歯が揃うこと”ではなく、患者さん自身が納得し、笑顔でいられることではないでしょうか。
✅ 1. 事前のゴール共有をしっかりと
Before→Afterのシミュレーション画像
正面・横顔・笑顔など複数の角度で確認
「どこまで変わるか」「どこは変わらないか」も伝える
✅ 2. 美の基準を押し付けない
Eライン・黄金比はあくまで“参考”
「その人らしい美しさ」=患者さんの主観に合わせて対話することが大切
✅ 3. アフターケアも“心まで”寄り添う
治療完了後のフォローも、「見た目の変化どうですか?」と一声かける
違和感があれば、微調整や補綴設計の相談にのる姿勢を持つ
✨まとめ:「顔が変わった」の先にあるもの
矯正は、歯だけでなく“その人の人生そのもの”を変えることがあります。
見た目が整うことで新しい自分に出会う喜びもあれば、「変わりすぎてしまった」と揺れる瞬間もあります。
だからこそ、私たち矯正医は技術だけでなく、心に寄り添う力も問われているのだと思います。
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📚参考文献
Albino JE, Tedesco LA, Lawrence SD. Photographic study of facial profile and psychosocial effects of malocclusion. Am J Orthod. 1994.
Doughan MB, et al. Assessment of psychosocial parameters in adolescents seeking orthodontic treatment. BMC Oral Health. 2024;24:1299.
Nakamura Y, et al. Psychosocial changes during orthodontic & surgical treatment in dentofacial deformity patients. J Jpn Coll Oral Maxillofac Surg. 2020.









