
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
白人と日本人、矯正治療の違いとは?🦷
2025年06月1日
~骨格・文化・美意識から見る歯列矯正の多様性~
「海外の人って、みんな歯並びキレイだな」と感じたこと、ありませんか?
特に欧米、いわゆるコーカソイド(白人)系の人々は、若い頃から矯正を受けるのが当たり前という文化があります。
でも、実は白人と東アジア人(私たち日本人)では、
矯正の目的や治療方法、そもそもの骨格的特徴にも違いがあるのをご存知でしょうか?
今回は、コーカソイド(白人)とモンゴロイド(東アジア人)における矯正治療の違いと、
そこから見える日本人に適した矯正のあり方についてご紹介します!
🦴 顔の骨格構造のちがい
コーカソイド(白人)とモンゴロイド(日本人を含む東アジア人)では、
次のような頭蓋・顎骨の構造差が見られます。
特徴 | コーカソイド(白人) | モンゴロイド(東アジア人) |
---|---|---|
顔の立体感 | 凹凸があり、彫りが深い | 比較的平坦な顔立ち |
頬骨 | 目立ちにくい | 張りやすく広がりがち |
顎の形 | 前突しやすい、角ばったライン | 下顎が後退しやすい傾向 |
歯列 | 歯が大きくスペースが不足しやすい | 歯列が小さめで突出傾向(口ゴボ)あり |
これにより、白人は「歯を並べるスペースが足りない」ケースが多く、
小臼歯抜歯によるスペース確保がよく行われます。
一方、日本人では「口元の突出感を引っ込めたい」という美容的な希望が強いのが特徴です。
💬 美意識・文化のちがい
欧米では、
「まっすぐな歯並び=社会的マナー」
「親が子どもに受けさせるべき教育の一環」
として捉えられることが多く、10代のうちに矯正を終えるのが当たり前です。
これは就職や恋愛などでも大きな評価ポイントになるため、文化的な背景として深く根づいています。
一方、日本ではようやく成人矯正が一般的になってきた段階で、
「美容目的」がきっかけになることも多いですね。
歯並びの良さが「見た目の清潔感」「育ちの良さ」といったイメージにも直結する時代になりつつあります。
✅ マウスピース矯正における違い
透明なマウスピース矯正(インビザラインなど)は、欧米で先に普及が進んでおり、現在では白人・アジア人問わず幅広く利用されています。
ただし、日本人では以下のような注意点・工夫が必要になることもあります。
顎が小さいため、歯の削合(IPR)が多めに必要
Eライン(横顔の美しさ)重視の希望が多く、前歯の後退移動がポイントになる
唇の張り出しが気になるため、抜歯症例の検討も多い
つまり、アジア人特有の骨格・口元の特徴を理解した上での治療計画が重要というわけです。
📚 参考文献
Proffit, W.R., Fields, H.W., Sarver, D.M. Contemporary Orthodontics. 5th ed. Elsevier; 2012.
Tsai HH. Morphological characteristics of the craniofacial structures of white and Asian subjects. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2005.
高橋康仁 他.「東アジア人におけるEラインと顔貌の調和に関する研究」日本矯正歯科学会雑誌.
🌏 まとめ:人種のちがいを理解して、最適な矯正を
同じ「歯並びを整える」治療でも、人種・文化・骨格の違いによってアプローチはさまざま。
私たち日本人には、日本人に合った治療計画と美しさの基準があります。
大切なのは、「誰かと同じ」ではなく、「自分に合った方法」を選ぶこと。
マウスピース矯正は、その柔軟性とカスタマイズ性から、どんな骨格にも合わせられる強い味方です✨
まずは気軽に、自分の顔立ちや希望に合わせたカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか?