
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
部分矯正で口ゴボを改善できる可能性はありますか?🤔
2025年03月24日
【口ゴボの原因】
口ゴボは、一般的に以下の原因が複合的に関与して起こります。
✅歯の傾斜
前歯が前方に傾いている
✅歯の位置
前歯が全体的に前方に位置している
✅顎の骨格
上顎または下顎が前方に突出している
✅歯の挺出
歯が通常よりも長く伸びている
【部分矯正の限界】
部分矯正は、主に前歯など、気になる部分の歯並びを整えることを目的としています。
そのため、以下のような理由から、口ゴボの根本的な改善には限界があります。
1. 移動量の制限
部分矯正では、歯を大きく移動させることが難しいです。
口ゴボを改善するには、前歯を後方に大きく移動させる必要のある場合が多く、
部分矯正だけでは十分なスペースを確保できないことがあります。
2. 歯の傾斜の改善
部分矯正でもある程度歯の傾斜を改善できますが、
大きく傾斜している場合は、歯全体を移動させる全顎矯正の方が効果的です。
3. 奥歯との関係
前歯だけを移動させると、奥歯との噛み合わせが悪くなる可能性があります。
全顎矯正では、全体の噛み合わせを考慮しながら歯を移動させるため、バランスの取れた仕上がりになります。
4. 骨格的な問題
口ゴボの原因が骨格にある場合、歯を移動させるだけでは改善できません。
骨格的な問題が強い場合は、外科矯正手術が必要となることがあります。
【抜歯矯正の必要性】
口ゴボの改善には、前歯を後方に移動させるためのスペースが必要です。
そのスペースを確保するために、抜歯が必要となる場合があります。
特に、以下のようなケースでは抜歯矯正が適応となることが多いです。
✅歯が並ぶスペースが不足している
歯が大きすぎる、または顎が小さすぎるために、歯が並ぶスペースが足りない場合。
✅前歯の突出が大きい
前歯が大きく前方に突出している場合、抜歯によって得られたスペースを利用して、
前歯を大きく後退させる必要があります。
【全顎矯正の優位性】
全顎矯正は、歯並び全体を総合的に改善することを目的としています。
そのため、口ゴボの改善においても、以下のようなメリットがあります。
✅全体的なバランス
歯並び全体を整えることで、見た目の改善だけでなく、噛み合わせや清掃性も向上します。
✅安定性
全顎矯正では、歯を正しい位置に移動させるだけでなく、その状態を維持するための処置も行います。
そのため、後戻りのリスクを軽減することができます。
【多様な治療法】
ワイヤー矯正だけでなく、マウスピース矯正など、様々な治療法を選択できます。
【結論】
費用を抑えたいというご希望は理解できますが、口ゴボの原因や程度によっては、部分矯正では十分な改善が見込めない場合があります。
まずは歯科医師に相談し、精密な検査を受けて、ご自身の口ゴボの原因を特定することが重要です。
その上で、最適な治療法を選択することをおすすめします。
場合によっては、抜歯を伴う全顎矯正が、長期的な視点で見ると、最も効果的で満足度の高い結果をもたらす可能性があります。
“Orthodontic Treatment of Skeletal Class II Malocclusion with Extraction and Non-Extraction Treatment”
- この研究は、上顎前突(口ゴボ)を改善するために、抜歯と非抜歯治療の違いを探求しています。特に、上顎の骨格的問題や前歯の突出に関して、抜歯矯正の必要性を説明しています。また、骨格の問題が強い場合には、全顎矯正が効果的であることが示されています。
- 出典: The Angle Orthodontist, 2010.
“Effects of Orthodontic Treatment on Facial Profile and Skeletal Relationships in Class II Malocclusion”
- 口ゴボを引き起こす骨格的な要因に関して、矯正治療が顔面プロファイルと骨格の関係にどのように影響を与えるかを評価しています。特に、全顎矯正が顎のバランスを整えるための有効な方法であることが示唆されています。
- 出典: European Journal of Orthodontics, 2012.
“Long-Term Stability of Extraction and Non-Extraction Treatments in Class II Malocclusion”
- この研究は、上顎前突(口ゴボ)の治療後の長期的な安定性について、抜歯矯正と非抜歯矯正の治療結果を比較しています。抜歯矯正が後戻りを防ぎ、安定的な結果をもたらすことが多いという点が強調されています。
- 出典: American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, 2009.
“Evaluation of the Effects of Extraction versus Non-Extraction Treatment on the Dental and Skeletal Changes in Class II Malocclusion”
- 上顎前突に対する抜歯と非抜歯治療の影響を比較した研究です。この研究では、骨格的な問題が強い場合、全顎矯正と抜歯を併用した治療が効果的であることが示されています。
- 出典: Journal of Clinical Orthodontics, 2008.
“Clinical Considerations for Orthognathic Surgery in the Treatment of Class II Malocclusion”
- 口ゴボが骨格的な要因によって引き起こされている場合に、外科矯正手術(オルソペディック治療)の必要性について詳述しています。この研究では、矯正治療だけでは改善できない場合、外科的手術が有効な治療法となることを説明しています。
- 出典: Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, 2011.
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