
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
【分析値・VTPデータを全公開】開咬×インビザライン症例レポート
2026年06月26日
👤30代女性
🦷主訴:前歯が噛み合わない(開咬・オープンバイト)
🦷装置:マウスピース矯正(インビザライン)、光加速装置オルソパルス使用
🦷治療期間:約2年
🦷原因:無意識のうちに上下の歯の間に舌を突き出す「舌癖(ぜつへき)」があり、それが歯を押し出す原因になっていた
🦷副作用、リスク: 舌癖(ぜつへき)による後戻りのリスク
開咬の大きな原因である「舌で前歯を押す癖」が改善されないままだと、治療が長引いたり、
治療終了後に再び前歯が開いてしまう(後戻り)リスクが高くなります。
🦷費用:¥990,000~1200,000
【初診時の状態と診断】
🌿初診時
🦷口腔内写真


👤顔貌写真

臼歯部は咬合しているものの、前歯部に明らかな垂直的隙間が認められるオープンバイトの状態。
この大きな隙間を引き起こしている根本的な原因は安静時や嚥下時に突出する舌癖です。
開咬の症例ではいくらアライナーで歯を動かしても、この異常な舌圧が加わると、
治療の妨げ、保定期間に入ってからの後戻りのリスクが非常に高くなります☝🏻
<分析値・VTP>


当院では、リケッツ分析という分析法を行っております。
分析の結果、
上顎骨長(MAXILLARY LENGTH/Harvold-McNamaraの三角 A)の大きさは正常値86mmに対して86.5mm、
下顎骨長(MANDIBULAR LENGTH /Harvold-McNamaraの三角 B)は正常値107~110mmに対して116.4mmあります。
上顎に対しての下顎が大きめだという事が分かります。
それを踏まえて、11項目データをみてみましょう。

開咬のため、垂直的指標を見るとLOWER FACIAL HEIGHTの値は基準値49.0に対して、56.2と高くなっています。

MAXILLAR INCISORP ROTRUSIONとは、下顎の骨の基準線(APoライン)に対して
下顎の中切歯がどこに位置しているのかを表す数値です。
基準値3.0mm(±1.5mmが正常値内)に対し計測値は9.5mm
少なくともー5.0mm下顎前歯を舌側移動させなければいけません。


そのため、上下左右4抜歯を行い、抜歯スペースとして14mm獲得します。(1本7㎜とする)
LOW1 TO APOは-5mmなので下顎前歯を5㎜舌側へ遠心移動し、
L6を2㎜近心移動させる計画をたてました。
この計画で現在計測値9.5mmから新設定値4.5mmとなり、下顎の切歯を正常範囲内へ収めることが可能です💡

紫ラインが現在測定値、新設値が赤のラインで表されています。
診断時の横顔の変化をAIで表した画像がこちら🦷
診断時に矯正後の予想がみれるため、患者様にとっても分かりやすいですね✨

<経過>
✅初診時





✅5ヶ月目(24枚目使用中)




加速装置を使用し、4日に一度交換📝
抜歯が完了し、クリンチェックに基づきアタッチメントを装着してから4ヶ月が経過しました
なんと5ヶ月でここまで開咬が改善しました。
MFTを継続して行い、顎間ゴムはアタッチメントセット時から2級ゴムを行っています🌿
✅8ヶ月目(41枚目使用中)





抜歯窩がほとんど埋まりバイトも順調ですが、
左下5番に近心傾斜がみられました。
このような近心傾斜の原因はマウスピースの使用不足であるにも関わらず交換を進めてしまう事が多いです。
また浮きがある状態で無理に進めてしまう事でも起こります。
抜歯治療により移動距離が多い症例は注意が必要です😱
この日にリンガルボタンを装着し顎間ゴムで引っ張る処置を開始しました。


✅10ヶ月目

左下5番の傾斜はまだ残っています。
今回で一度リファイメントを行いました。
傾斜している歯がある場合、隣の隙間が閉じてしまうと起こしづらいため
その前に改善させる必要があります。
✅1年9ヶ月目(31枚目使用中)


3度目のリファイメントをし現在31枚目
5番目を起こすために時間がかかっていますが、その他の部分は綺麗に仕上がっていますね
倒れ具合によっては、臼歯のみにブラケットを装着することもあります。
マウスピースの使用時間は22時間以上、エラスティックについても同じです👀
✅治療完了 2年目


<比較写真>


治療開始から約2年⏱
当初は前歯でものが噛みきれない状態で大きく開いていた前歯が、写真の通り、今では
しっかりと緊密に噛み合うようになりました。
治療前の徹底的な精密検査、クリンチェック計画はもちろんですが、
特に患者様の協力(MFTやエラスティック)があったため短期間で劇的にバイトが改善されました。
臼歯の傾斜が起こらなければ1年程で終了できた可能性があります🦷
初診時は口元の突出により、オトガイ筋に強い緊張(ウメボシ状のシワ)が認められました。
しかしVTPの計画通り、下顎前歯を5.0mm引くことでお口周りの軟組織のバランスが整いオトガイの緊張が消失。
横顔のラインがシャープになり、審美面での変化も見られました。
現在はリテーナーを夜間のみ装着するステージに入っておりますが、引き続きMFTを継続し
歯並びをキープできています☺️✨
🌱歯科衛生士としての考察 まとめ
開咬の患者様はアライナーをはめるモチベーションだけでなく毎日のMFT、エラスティックなど
ご自身の努力が不可欠です
私たち衛生士が、単なる装置のチェック係ではなく機能面のトレーナーとして
患者様と信頼関係を築くことがインビザライン矯正を成功に導く最大の武器になると
改めて感じる素晴らしい症例でした✨









