
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
矯正で歯がグラグラするって本当?骨の吸収と添加から詳しく解説🦷
2026年09月1日
「矯正すると歯がグラグラするって本当?」
「歯を動かして、抜けたりしないの?」
「マウスピースを外したら歯が少し動く気がする……」
これから歯列矯正を始めようと考えている方の中には、このような不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、矯正治療中に歯が一時的に少しグラグラするように感じることはあります。
これは、歯を動かすために歯の周囲で骨の「吸収」と「添加(骨形成)」が起こっていることと関係しています。
つまり、歯が少し動くからといって、すぐに「歯が弱くなった」「抜けそうになっている」というわけではありません。
今回は、矯正中に歯がグラグラする理由を、歯が動く仕組みから詳しく解説します😊
そもそも歯は骨に直接くっついているわけではありません

「歯は顎の骨にガッチリ固定されている」
と思っている方も多いかもしれません。
しかし実際には、歯の根と顎の骨の間には、歯根膜(しこんまく)という薄い組織があります。
歯根膜は、歯に加わる力を受け止めるクッションのような役割をしています🌿
実は健康な歯でも完全に動かないわけではなく、わずかな生理的な動揺があります。
矯正治療では、この歯根膜とその周囲の骨が持っている仕組みを利用して、歯を少しずつ目的の位置へ移動させていきます🦷
矯正すると、どうして歯が動くの?
インビザラインなどのマウスピース矯正やワイヤー矯正では、歯に適切な矯正力を加えます。
すると、歯の周囲では大きく2つの変化が起こります。
① 骨の吸収
② 骨の添加(骨形成)
この2つが繰り返されることで、歯は顎の骨の中を少しずつ移動していきます。
これを骨のリモデリングといいます。
「歯を無理やり押して動かしている」というよりも、
体がもともと持っている骨を作り替える仕組みを利用して歯を動かしていると考えると分かりやすいでしょう😊
① 歯が動く方向では「骨の吸収」が起こる
例えば、歯を右側へ動かすとします🦷
歯に右方向への矯正力が加わると、歯の右側にある歯根膜が圧迫されます。
すると、その周囲では破骨細胞(はこつさいぼう)という細胞が働きます。
破骨細胞は骨を吸収する働きを持っており、歯が進んでいく方向にある骨を少しずつ吸収していきます。
イメージとしては、
「歯が進むためのスペースを少しずつ作っている」
という状態です。
もちろん、一気に骨がなくなるわけではありません。
適切な矯正力によって少しずつ骨のリモデリングが起こり、それに合わせて歯もゆっくり移動していきます👨⚕️
② 反対側では新しい骨が「添加」される
では、歯が動いた後はどうなるのでしょうか?
歯が右側へ移動すると、反対側である左側にはスペースができます。
こちら側では歯根膜が引っ張られ、骨芽細胞(こつがさいぼう)という細胞が働きます。
骨芽細胞は、新しい骨をつくる働きを持っています。
つまり、
歯が進む側 → 骨が吸収される
歯が通り過ぎた側 → 新しい骨が添加される
という変化が起こっているのです。

骨をただ削りながら歯が移動しているわけではありません。
古い骨を吸収し、新しい骨をつくりながら、歯の周囲の骨を作り替えているのです🦴
だから矯正中は歯が少しグラグラすることがある
ここが今回の一番大切なポイントです。
矯正治療中は、
骨の吸収
↓
歯の移動
↓
骨の添加
という変化が歯の周囲で続いています🙆♀️
つまり、歯を動かしている途中では、歯根膜や周囲の骨が治療前とまったく同じ状態ではありません。
そのため、一時的に歯の動揺が大きくなり、
「指で触ると少し動く気がする」
「噛んだときに歯が動いている感じがする」
「マウスピースを外した直後に少しグラグラする」
と感じることがあります。
これが、矯正治療中に歯がグラグラすると感じる主な理由の一つです。
「骨が吸収される」って大丈夫?😨
「歯の周りの骨が吸収されます」
と聞くと、
「骨がどんどんなくなるの?」
「そのうち歯が抜けるのでは?」
と心配になるかもしれません。
しかし、矯正治療に伴って起こる骨吸収は、歯を移動させる際に起こる生理的な骨のリモデリングの一部です👨⚕️
歯が進む方向では骨が吸収され、その反対側では新しい骨が形成されます。
つまり、
骨を減らし続けながら歯を動かしているわけではありません。
吸収と添加を繰り返しながら、歯の位置に合わせて周囲の骨も作り替えられていきます🦷
グラグラする=歯が抜ける?
矯正中に少し歯が動くように感じたからといって、それだけで歯が抜けるということではありません🙆♀️
歯を動かしている期間は、周囲の歯根膜や骨も変化しているため、一時的に動揺が増えることがあります。
特に、
・新しいマウスピースに交換した後
・歯が大きく動いている時期
・ワイヤーを調整した後
などに、違和感や動いているような感覚を覚える方もいます。
ただし、感じ方には個人差があり、矯正中でもほとんどグラつきを感じない方もいます。
マウスピース矯正でも歯はグラグラする?🦷
インビザラインなどのマウスピース矯正でも、基本的な歯の移動の仕組みは同じです。
「マウスピース矯正だから歯は揺れない」
「ワイヤー矯正だけ歯がグラグラする」
というわけではありません。
マウスピース矯正でも歯に矯正力を加え、
歯根膜の変化 → 骨の吸収と添加 → 歯の移動
という仕組みを利用して歯を動かします。
そのため、インビザライン、エンジェルライナー治療中でも一時的に歯が動くように感じることがあります⚡
矯正すると歯が弱くなる?
「矯正で歯を動かすと、将来的に歯が弱くなるのでは?」
という質問もよくあります。
適切に管理された矯正治療によって、必ず歯そのものが弱くなるというわけではありません。
ただし、矯正治療にはいくつか注意すべきリスクがあります👨⚕️
その一つが歯根吸収です。
歯根吸収とは、矯正治療によって歯の根が短くなることがある現象です。
矯正治療に伴って軽度の歯根吸収がみられることがありますが、その程度には個人差があります。
そのため、必要に応じてレントゲンなどで歯根の状態を確認しながら治療を進めることが大切です。
歯周病がある場合は注意が必要⚠️
「矯正中の生理的な歯の動揺」と「歯周病などによる歯の動揺」は分けて考える必要があります🙅♀️
歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が減少し、歯がグラグラすることがあります。
もともと歯周病がある状態で矯正治療を行う場合には、特に注意が必要です。
成人矯正では、歯並びだけではなく、
歯・歯根・歯ぐき・歯を支えている骨
まで確認したうえで治療を進めることが重要です📝
こんなグラグラは一度相談しましょう

矯正治療中に多少の動揺を感じることはあります🌿
しかし、
「矯正中だからグラグラしても全部大丈夫」
というわけではありません。
例えば、
・明らかに歯の揺れが大きい
・急にグラグラするようになった
・特定の歯だけ大きく動く
・強い痛みが続いている
・噛むと強く痛む
・歯ぐきが大きく腫れている
・出血や膿がある
といった場合には、一度担当の歯科医師へ相談しましょう。
自分で何度も指や舌で歯を動かして確認することも避けてください。
気になる場合には、自己判断せず診察時に確認してもらうことが大切です😊
歯が動いた後はどうやって安定するの?

歯が目的の位置まで移動したからといって、その瞬間に治療前と同じように完全に安定するわけではありません。
歯の周囲では、骨や歯根膜などが新しい位置に適応していく必要があります。
そのため、矯正治療終了後にはリテーナー(保定装置)を使用します👀
矯正で歯を動かした後は、
歯を新しい位置に保ちながら、周囲の組織が安定していくための期間
が必要なのです。
だからこそ、歯並びがきれいになったからといって、すぐに何も装着しなくてよいわけではありません。
矯正治療後の保定も、きれいになった歯並びを維持するための大切な治療の一部です✨
まとめ|矯正中のグラグラは「歯が動く仕組み」と関係しています😊
矯正治療中には、一時的に歯が少しグラグラするように感じることがあります。
これは、歯を目的の位置へ動かすために、
歯が進む側では骨の吸収が起こり、反対側では新しい骨が添加される
という骨のリモデリングが起こっていることと関係しています。
そのため、治療中に多少歯が動くように感じても、
それだけで「歯が弱くなった」「抜けそう」という意味ではありません。
ただし、明らかに揺れが大きい場合や、強い痛み、腫れ、出血などを伴う場合には別の原因が隠れている可能性があります😵💫
気になる変化があれば自己判断せず、担当の歯科医師へ相談しましょう。
矯正治療は、骨の吸収と添加という体がもともと持っている仕組みを利用して、
歯を少しずつ適切な位置へ移動させる治療なのです😊🦷
参考文献📚
- Li Y, Jacox LA, Little SH, Ko CC. Orthodontic tooth movement: The biology and clinical implications. Kaohsiung Journal of Medical Sciences. 2018;34(4):207-214. doi:10.1016/j.kjms.2018.01.007.
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- Meeran NA. Biological response at the cellular level within the periodontal ligament on application of orthodontic force – An update. Journal of Orthodontic Science. 2012;1(1):2-10. doi:10.4103/2278-0203.94769.
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