
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
インビザライン中、奥歯が噛み合わなくなった!これって大丈夫?🦷
2026年08月24日
インビザラインで治療をしている患者さんから、
「最近、奥歯が噛み合わなくなった気がします」
「治療を始める前は噛めていたのに、今は奥歯が浮いています」
「前歯はきれいになってきたのに、奥歯だけ噛めません」
というご相談をいただくことがあります👨⚕️
治療前には普通に噛めていた場所が噛みにくくなると、「これって矯正失敗なの?」と心配になりますよね。
結論からいうと、インビザラインなどのマウスピース矯正では、治療途中に奥歯が一時的に噛み合いにくくなることがあります。
これは「臼歯部開咬(posterior open bite)」と呼ばれる状態で、クリアアライナー治療で知られている現象の一つです。
ただし、原因は一つではありません🌿
マウスピースの厚み、舌癖、装着時間不足、歯の傾きや歯列のたわみ、マウスピースの浮き、治療計画と実際の歯の動きのズレなど、
さまざまな原因が考えられます。
「マウスピース矯正ではよくあるから、そのうち治る」と自己判断せず、
なぜ奥歯が噛んでいないのかを確認することが大切です😊
なぜインビザライン中に奥歯が噛み合わなくなるの?

① マウスピースの厚みが影響することがある

インビザラインでは、上下の歯にマウスピースを装着します🦷
そのため装着中は、上下の奥歯の間にマウスピースの素材が介在している状態になります。
インビザラインは長時間装着する治療ですので、この状態が噛み合わせに影響し、奥歯が噛みにくくなることがあります⚡
クリアアライナー治療に伴う臼歯部開咬は、近年の文献でも取り上げられています。
ただし、「マウスピースの厚みだけが原因」と決めつけることはできません。
実際の診療では、舌の状態や装着時間、歯の動きなども含めて確認する必要があります。
② 治療前は噛んでいたのに?途中から舌癖が出てくることも👅
奥歯が噛み合わなくなる原因として、特に注意したいのが舌癖(ぜつへき)です。
患者さんから、
「矯正を始める前は普通に噛めていました」
「今まで舌癖なんて言われたことがありません」
と言われることがあります🦷
しかし、治療前に奥歯が噛み合っていたからといって、治療中も舌の影響を受けないとは限りません👀
マウスピース矯正を始めると歯が少しずつ移動し、それに伴って噛み合わせも変化していきます。
その途中で奥歯にわずかな隙間ができると、それまでなかったのに、その隙間へ無意識に舌を入れる癖が出てくることがあります。
例えば、
奥歯に少し隙間ができる
↓
無意識に舌を入れる
↓
舌が上下の歯の間にある状態が繰り返される
↓
奥歯が噛み合うことを邪魔する
↓
さらに奥歯が噛みにくくなる
という悪循環につながることがあります⚠️
つまり、
「舌癖があったから奥歯が開いた」だけではなく、「治療途中で生じた隙間をきっかけに舌癖が出て、それによってさらに奥歯が噛みにくくなる」
というケースもあります🙄
マウスピースを始めてから舌の動きが変わることも
マウスピースを装着すると、歯の表面や噛み合わせの感覚は治療前とは変わります。
さらに歯が動くことで、お口の中の環境も少しずつ変化します🌿
その結果、それまで気にならなかった舌の位置や動かし方が変化し、無意識に奥歯の間へ舌を入れるようになる方もいます😵💫
特に、
・奥歯の間に舌を入れる
・舌で奥歯を触る
・飲み込むときに舌を歯の間へ押し出す
・舌が低い位置にある
・正しい舌の位置を保てていない
といった状態には注意が必要です🗣️
歯はマウスピースからの力だけで動いているわけではありません。
舌・唇・頬などから毎日繰り返しかかる力も、歯の位置や噛み合わせに影響します。
そのため、奥歯がなかなか噛んでこない場合には、歯だけを見るのではなく、舌の位置や使い方まで確認することが重要です👅
必要に応じてMFT(口腔筋機能療法)を行い、正しい舌の位置や飲み込み方を身につけていくこともあります。
③ 使用時間が短いと、歯が傾いたり「たわむ」ことも⏰
マウスピース矯正では、決められた装着時間を守ることが非常に重要です⌛
使用時間が不足すると、予定していた歯の動きに実際の歯がついてこなくなることがあります。
例えば、本来は歯冠だけではなく歯根も含めて適切な位置へ移動させたいところ、
計画どおりに動かず、歯が傾くような動きになることがあります。

また、歯列全体で見ると、計画した位置に歯が十分についてこないことで、
歯列が「たわむ」ような状態になり、上下の奥歯の高さや位置にズレが出ることもあります。
イメージとしては、
装着時間が不足する
↓
計画どおり歯が動かない
↓
歯が傾いたり歯列にたわみが出る
↓
上下の歯の位置にズレが生じる
↓
奥歯が噛み合わなくなる
という流れです。
「少しくらい装着時間が短くても、次のマウスピースが入れば大丈夫」
とは限りません。
見た目ではマウスピースが入っていても、細かい歯の位置が治療計画についてきていない場合があります😱
だからこそ、毎日の装着時間を守ることが大切なのです😊
④ マウスピースの「浮き」をそのままにしている
マウスピースと実際の歯の位置にズレが生じると、「浮き」が出ることがあります。
特に、歯の先端部分とマウスピースの間に隙間ができている状態には注意が必要です。
マウスピースが十分にフィットしていない状態で、
「一応入っているから大丈夫」
と次のマウスピースへ進んでしまうと、計画と実際の歯の位置のズレがさらに大きくなることがあります😵💫
そして、そのズレが噛み合わせにも影響する可能性があります。
チューイーを指示どおり使用しても浮きが改善しない、次のマウスピースが入りにくいといった場合には、自己判断で進めず歯科医院へ相談しましょう。

⑤ シミュレーションと実際の歯の動きにはズレが出ることもある
インビザラインでは、治療開始前に歯をどのように動かしていくのかシミュレーションを作成します。
しかし、
シミュレーション=必ずその通りに歯が動くということではありません。
歯の動き方には個人差があります🙆♀️
さらに、装着時間や顎間ゴムの使用状況、舌癖などによっても実際の歯の動きは変わります。
そのため、治療計画上では奥歯まで噛み合う予定でも、一部の歯が予定どおり動かなければ、実際の噛み合わせとの間にズレが生じることがあります。
だからこそマウスピース矯正では、最初に作ったシミュレーションだけを見るのではなく、実際のお口の状態を確認しながら治療を進めることが重要です。
前歯がきれいなのに、どうして治療が終わらないの?🤔
治療が進んで前歯がきれいに並んでくると、
「もう十分きれいだから終わりでもいいのでは?」
と思う方もいらっしゃいます。
しかし、前歯がきれい=矯正治療終了ではありません。
矯正治療では見た目だけではなく、上下の歯がきちんと噛み合っているかまで確認することが大切です。
前歯がきれいでも奥歯が噛んでいなければ、追加の調整が必要になる場合があります。
そのため、
「最後のマウスピースまで終わったのに追加になった」
ということもあります。
追加マウスピースは必ずしも「治療失敗」ということではなく、最終的な噛み合わせをより良い状態へ仕上げるための工程です👨⚕️
奥歯が噛み合わない=インビザライン失敗?
必ずしもそうではありません😊
矯正治療では歯を順番に動かしているため、治療途中で一時的に噛み合わせが不安定になることがあります。
重要なのは、
「今、奥歯が噛んでいない」という事実だけではなく、「なぜ噛んでいないのか」を確認することです。
原因が、
・マウスピースの厚みなのか
・舌癖なのか
・装着時間不足なのか
・歯の傾きやたわみなのか
・計画と実際の動きのズレなのか
によって対応方法は変わります。
「インビザラインではよくあるから大丈夫」と長期間そのままにするのではなく、定期的に噛み合わせを確認することが重要です🙆♀️
奥歯の噛み合わせはどうやって改善するの?

原因や状態によって対応は異なります。
追加マウスピース(リファイメント)を作製する、歯の動かし方を修正する、
顎間ゴムを使用する、装着時間を見直す、舌癖がある場合にはMFTを行う
などの方法があります。
特に舌癖が関係している場合、歯だけを動かして一度噛み合わせを改善しても、
舌を奥歯の間へ入れる癖が残っていれば再び影響を受ける可能性があります📝
そのため、歯を動かすことと、舌の使い方を改善することを一緒に考えることが大切です👅✨
また、「マウスピースが原因なら装着時間を減らせばいいのでは?」
と自己判断するのは避けましょう🥲
装着時間を減らすことで、さらに計画と実際の歯の位置にズレが生じる可能性があります。
医院によって治療途中の対応も変わります
インビザラインは、マウスピースを渡して順番に交換していけば自動的に完成する治療ではありません🦷
治療途中では、
歯が計画どおり動いているか、マウスピースが浮いていないか、歯が傾いていないか、噛み合わせにズレが出ていないか、舌癖が影響していないか
などを確認する必要があります。
問題があれば、必要に応じて再スキャンを行ったり、追加マウスピースを作製したり、顎間ゴムやMFTを取り入れたりします。
つまり、マウスピース矯正では、
「どのマウスピースを使うか」だけではなく、「途中の変化をどのように見つけ、どのように修正するか」も非常に重要です。
特に前歯の見た目だけではなく、最終的に奥歯まできちんと噛み合っているかを確認して仕上げることが大切です🦷
こんなときは歯科医院へ相談しましょう⚠️

治療中に多少噛み合わせが変化することはあります。
しかし、奥歯がほとんど当たらない、片側だけ噛めない、食事がしにくい、噛み合わせの違和感が長く続く、マウスピースにも強い浮きがある
といった場合には、一度歯科医院へ相談しましょう。
「最近、奥歯の隙間に舌を入れてしまう」
「気づくと舌で奥歯を触っている」
「飲み込むときに舌が歯の間に入っている気がする」
という場合も担当医に伝えてください。
治療前にはなかった舌癖が、治療途中から出てくることもあります。
まとめ|「最初は噛んでいたから大丈夫」とは限りません🦷✨
インビザライン治療中に奥歯が噛み合わなくなることはあります。
その原因には、
マウスピースの厚み、舌癖、装着時間不足、歯の傾きや歯列のたわみ、マウスピースの浮き、治療計画と実際の歯の動きのズレ
など、さまざまなものがあります。
そして特に知っていただきたいのが、治療を始める前には奥歯が噛んでいた方でも、
マウスピース矯正を始めてから舌癖が出てくることがあるということです👀
治療途中で奥歯にわずかな隙間ができ、そこへ舌を入れることが習慣になると、奥歯が噛み合うことをさらに邪魔してしまう場合があります。
だからこそ、奥歯が噛み合わなくなったときは、
「マウスピースだから仕方ない」と考えるのではなく、なぜ噛んでいないのかを確認することが大切です。
矯正治療のゴールは、前歯をきれいに並べることだけではありません。
見た目だけでなく、奥歯までしっかり噛み合う状態を目指して治療していきましょう😊
無料カウンセリング予約はLINEから可能です🦷
お気軽にお問い合わせください🌿
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参考文献
- Akinwale-Quansah A, Singh P. Clear aligner treatment and the generation of posterior open bites: Aetiology, treatment and prevention. J Orthod. 2026.
- Xiao L, et al. Vertical settling elastics for resolving posterior open bite during the fine-tuning staging for clear aligner therapy: A prospective clinical study. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2026.
- Robertson L, et al. Effectiveness of clear aligner therapy for orthodontic treatment: A systematic review. Orthod Craniofac Res. 2020.










