
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
動きにくい歯はある? 被せ物・差し歯・インプラントと矯正の本当の話🌿
2026年02月2日
「この歯、被せ物なんですが…矯正できますか?」
「インプラントが入っていると、もう歯は動かせませんか?」
カウンセリングでかなりよく聞かれる質問です🦷
結論から言うと――
👉 動きにくい歯、そして“動かない歯”は存在します。
ただし、条件によって対応は大きく変わります。
今回は
✔ 動きにくい歯の正体
✔ 被せ物・差し歯は動くのか
✔ インプラントがある場合の考え方
を分かりやすく解説します。
結論:歯の「見た目」より大事なのは中身
まず大前提として👇
矯正で歯が動く仕組みは、
歯そのものではなく、歯を支える骨(歯槽骨)が関係しています。
つまり
・天然歯か
・人工物か
で、動きやすさは変わります。
動きにくい歯①
被せ物(クラウン)が入っている歯
これは意外に思われますが、
👉 被せ物が入っていても、歯は動きます。
なぜなら、
被せ物の下には
✔ 自分の歯根
✔ 歯根膜
がちゃんと残っているからです。
ただし注意点も⚠️
・被せ物の形が矯正向きでない
・装置が外れやすい
・強い力がかけられない
こうした理由で
「動かせるけど、慎重に」
という扱いになります。
動きにくい歯②
神経を取った歯(失活歯)
「神経がない歯=動かない」
と思われがちですが、これは誤解です。
👉 神経を取っていても歯は動きます。
ただし、
・歯がもろくなっている
・歯根が短い
・過去に炎症があった
こうした条件があると、
動きはやや慎重になります。
動きにくい歯③
歯根が短い歯・弱っている歯
これは実際に
動かしにくい歯です。
・歯根が短い
・歯周病で骨が減っている
・過去の矯正でダメージがある
この場合、
無理に動かすと
👉 歯の寿命を縮めるリスク
があります。
そのため
「動かさない」「動かす量を最小限にする」
という判断になることもあります。
動かない歯①

インプラント
ここは超重要です。
👉 インプラントは、絶対に動きません。
なぜなら
インプラントは
✔ 骨と直接くっついている
✔ 歯根膜が存在しない
= 矯正力に反応しない構造だからです。
インプラントがあると矯正できない?
答えは
👉 できます。
ただし考え方が変わります。
インプラントは
❌ 動かす歯
ではなく
⭕ 動かない「固定物」
として使われます。
そのため
・周囲の歯を動かす
・噛み合わせを整える
・仕上げをインプラントに合わせる
といった
逆算型の治療計画が必要になります。
要注意⚠️
「矯正のあとにインプラント」が基本な理由
多くの場合、
✔ 先に矯正
✔ 最後にインプラント
この順番が推奨されます。
理由はシンプル👇
・インプラントは動かせない
・位置がズレると修正できない
だからです。
すでにインプラントが入っている場合は、
その位置を基準に歯並びを作る
という制約付きの矯正になります。
患者さんが知っておきたい大切なポイント
✔ 被せ物があっても矯正はできる
✔ 神経を取っていても動く
✔ 歯の状態次第で「動かしにくい歯」はある
✔ インプラントは絶対に動かない
✔ 治療順序がとても重要
つまり、
「できる・できない」ではなく
「どう設計するか」
が矯正の本質です。
まとめ 🌱

矯正治療では、
すべての歯が同じように動くわけではありません。
・動きやすい歯
・慎重に動かす歯
・動かさない歯
それぞれを見極めて
歯の寿命を守りながら整える
ことが、本当に良い矯正です🦷
被せ物やインプラントがある方こそ、
治療前の診断と説明がとても大切。
「自分の歯はどうなの?」
そう思ったら、
ぜひ一度、矯正専門の診断を受けてみてください😊
📚参考文献
Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics. Elsevier.
Misch CE. Dental Implant Prosthetics. Mosby.
Krishnan V, Davidovitch Z. Cellular, molecular, and tissue-level reactions to orthodontic force. Am J Orthod Dentofacial Orthop.
日本矯正歯科学会 編「矯正歯科治療ガイドライン」









