
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
人種による骨格のちがいで矯正のアプローチも変わる?🦴
2025年06月2日
アフリカ系(ネグロイド)の特徴と矯正治療のポイント🦷🌍
現代では、グローバルな移動や国際結婚も増え、さまざまな人種・民族の患者さんが矯正相談に訪れる時代になりました。
その中でも、アフリカ系(ネグロイド)の方々には、他の人種とは異なる骨格・歯列の特徴があり、治療計画にも配慮が必要です。
今回は、アフリカ系の方に見られる代表的な歯科的特徴と、マウスピース矯正を含む治療の考え方についてご紹介します👀
🦴 ネグロイド系に多い顔貌・歯列の特徴とは?
アフリカ系の方々には、以下のような解剖学的特徴が見られることが多いと報告されています☝️
特徴 | 説明 |
---|---|
頭蓋骨の形 | 顔の高さは低め、横幅が広めで短頭型 |
顎の特徴 | 下顎がしっかり発達し、顎が前方に出やすい |
歯の大きさ | 歯が比較的大きく、歯列のスペース不足が生じやすい |
歯の形態 | 切縁が四角に近く、隣接面が広いため歯の並びが密接しやすい |
唇・口元 | 厚みがあり、プロファイル(横顔)が前突ぎみの印象 |

これらの特徴から、上顎・下顎ともに前方に位置する傾向があり、口元の突出感(バイプロファイル)を気にされる方もいらっしゃいます✨
✨ 矯正治療で意識すべきこと
アフリカ系の患者さんに対しては、以下のようなポイントに注意して治療を計画します。
① 美的感覚のちがいに配慮
欧米や日本の「Eライン」基準ではなく、各文化に合った美的バランスを重視する必要があります。
たとえば、アフリカ系の文化では口元のボリュームが自然な魅力とされることもあり、過度な抜歯や後方移動は違和感につながる場合もあります。
② 抜歯か非抜歯かの判断
歯の大きさやスペースの問題から抜歯が必要になるケースはありますが、顔貌への影響や希望を丁寧に聞き取ることが大切です。
③ マウスピース矯正の可能性
従来はブラケット矯正が主流でしたが、現在ではマウスピース矯正でも対応できる範囲が広がっています。
IPR(歯の削合)やアタッチメントを活用しながら、見た目と機能の両立を目指せます😊
📚 参考文献
Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics. 5th ed. Elsevier; 2012.
Lavelle CL. The teeth of the Negroid. J Dent Res. 1970.
Onyeaso CO, BeGole EA. Orthodontic concerns in the African American population. Angle Orthod. 2006.
🌍 まとめ:人種に合わせた矯正が、より自然な笑顔につながる
矯正治療は「全員に同じ方法で正解」ではありません。
骨格・歯の形・文化的な美意識まで含めて、一人ひとりに合わせた設計が大切です📝
アフリカ系の方がもつ自然で魅力的な口元を生かしつつ、機能面や清掃性を高める矯正治療は、今やマウスピースでも可能です✨
グローバルな視点を持った矯正相談、ぜひお気軽にご相談ください!🧑⚕️