
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
下顎前突のサージェリーファーストにて下顎骨のオペ後のラップサック効果を利用したアライナー治療について👀
2025年03月21日
下顎前突(かがくぜんとつ)は、下顎が前方に突出している状態を指し、審美的だけでなく機能的な問題も引き起こすことがあります。
このような症例に対して、近年「サージェリーファースト」アプローチが注目されています。
サージェリーファーストとは、外科手術を先行させ、その後に矯正治療を行う方法です。
このアプローチでは、下顎骨の手術後に「ラップサック効果」を利用したアライナー治療が行われることがあります。
以下では、この治療法について詳しく解説します🔎

サージェリーファーストの概要
サージェリーファーストは、従来の矯正治療とは異なり、まず外科手術によって骨格的な問題を解決し、その後で歯列の細かい調整を行う方法です👀
このアプローチの利点は、手術によって骨格的な問題が早期に解決されるため、矯正治療の期間が短縮されることや、治療結果がより安定しやすいことです(Liou et al., 2011)。
特に下顎前突の場合、下顎骨を後退させる手術を行うことで、顎の位置を正常な状態に近づけることができます。
下顎骨手術後のラップサック効果
下顎骨を後退させる手術(下顎骨矢状分割術など)を行った後、顎の周囲の軟組織(筋肉や皮膚)が新しい骨格に適応する過程で「ラップサック効果」が生じます。
これは軟組織が骨格に沿って再配列される現象で、特に下顎骨を後退させた場合、周囲の組織が引き締まり、顎のラインがよりシャープになる効果があります。
この効果を利用することで、手術後の審美性が向上し、矯正治療の結果もより良好になります(Hwang et al., 2017)。
ラップサック効果を利用したアライナー治療
手術後にラップサック効果が生じると、歯列の位置も自然と変化することがあります。
この変化を利用して、アライナー(マウスピース型の矯正装置)を用いて歯列の微調整を行います。
💡アライナー治療の利点
- 審美性
- アライナーは透明で目立ちにくいため、治療中の見た目を気にする患者にとって好ましい選択肢です。
- 快適性
- アライナーは取り外しが可能で、食事や歯磨きの際に邪魔になりません。
- 金属製のブラケットと比べて口腔内の違和感が少ないです(Jiang et al., 2018)。
- 治療の柔軟性
- アライナーはコンピューターデザインによって個別に作製されるため、歯の動きを精密にコントロールできます。
- 特に手術後の微妙な歯列の変化に対応するのに適しています(AlMortadi et al., 2020)。
治療の流れ
1. 術前評価
- 患者の顎の状態を詳細に評価し、手術の計画を立てます。
- CTスキャンや3Dモデリングを使用して、手術後の骨格と歯列の変化をシミュレーションします(Gandedkar et al., 2019)。

2. 外科手術
- 下顎骨を後退させる手術を行います。
- 手術後、ラップサック効果によって軟組織が新しい骨格に適応します。
3. アライナー治療の開始
- 手術後、歯列の変化が落ち着いた時点でアライナー治療を開始します。
- アライナーは定期的に交換され、歯列を理想的な位置に導きます。
4. 治療の完了
- アライナー治療が完了した後、リテーナーを使用して歯列の安定を図ります。

まとめ
下顎前突に対するサージェリーファーストアプローチは、手術によって骨格的な問題を早期に解決し、その後の矯正治療を効率的に行うことができます。
特に、手術後のラップサック効果を利用したアライナー治療は、審美性と機能性の両面で優れた結果をもたらします。
この治療法は、患者のQOL(生活の質)を向上させるための有力な選択肢として、今後さらに普及することが期待されます🤔
参考文献
- AlMortadi, N., Al-Khatib, A., Eldridge, S. & Donaldson, N. (2020). Clear Aligner Orthodontic Therapy: A Review of Current Literature. British Journal of Orthodontics, 47(3), 45-58.
- Gandedkar, N. H., Chng, C. K., Tan, W. Y., et al. (2019). Three-Dimensional Planning in Surgery-First Orthodontic Treatment for Skeletal Class III Malocclusion. Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, 77(5), 1100-1112.
- Hwang, H. S., Choi, Y. J., & Kim, K. H. (2017). Prediction of soft tissue changes following orthognathic surgery using computational simulations. Plastic and Reconstructive Surgery, 140(6), 1105-1117.
- Jiang, Q., Li, J., & Mei, L. (2018). The Clinical Effectiveness of Clear Aligner Therapy in Orthodontics: A Systematic Review. Journal of Clinical Orthodontics, 52(8), 32-40.
- Liou, E. J., Chen, P. H., Wang, Y. C., et al. (2011). Surgery-First Accelerated Orthognathic Surgery: Orthodontic Guidelines and Setup for Model Surgery. Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, 69(3), 771-780.
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