
- この記事の監修者
- 医療法人「建昇会」理事長。歯科医師。愛知学院大学歯学部卒業、日本成人矯正歯科学会会員、日本矯正歯科学会会員、UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯科矯正科修了。
開咬(オープンバイト)はマウスピースとワイヤーどちらが得意?☹️
2025年04月13日
開咬(オープンバイト)は、上下の歯が咬み合わずに隙間ができている状態を指します。
これは特に前歯で見られることが多く、咬合の不整合により食事がしづらくなるだけでなく、見た目にも影響を与えます☹️
この症状に対する矯正治療には、主にマウスピース(アライナー)とワイヤー矯正の2つの方法がありますが、開咬の治療においてアライナーが特に有利である理由について解説します🦷
🌿アライナーの利点
1. 全体的な歯の移動をサポート
アライナーは、歯列全体を覆う形で設計されています。
これにより、歯の側面だけでなく、咬合面(噛み合わせ面)も包括的にコントロールすることができるため、開咬の症状に対するアプローチがより効果的です。
開咬は主に上下の歯が噛み合わないため、上下の歯を同時に動かすことが必要です。
2. 力の分散
アライナーは、歯全体に均等に圧力をかけ、特定の部位に過剰な力がかからないように設計されています。
これにより、開咬を改善する際に、特定の歯がストレスを受けにくく、より安全に歯の移動を促進できます。
3. 患者の快適さと審美性
アライナーは透明で、目立たないため、特に成人患者にとって心理的な負担が少なくなります。
また、取り外しが可能であるため、食事や歯磨きがしやすく、衛生面でも優れています。
このような患者の快適性が、治療の継続につながります。
4. 咬合面の管理
アライナーは、咬合面に直接触れ、上下の吻合状態(噛み合わせの状態)を管理できるため、開咬の治療において特に有利です。
アライナーは歯の動きを直接制御できるので、開咬解消のための咬合調整が容易です。
ワイヤー矯正の比較 一方で、ワイヤー矯正は一般的に特定の歯の移動や傾斜を強化することに優れていますが、開咬の治療においてはいくつかの制約があります。
☹️ワイヤー矯正は?
1. 部分的な力の集中
ワイヤー矯正は、特定のブラケットに力を集中させるため、部分的な力の偏りが生じることがあります。
このため、歯の特定の部分に過剰なストレスがかかりやすく、開咬の改善が難しいことがあります。
2. 咬合面へのアプローチの限定
ワイヤー矯正は、主に個々の歯の動きに焦点を当てるため、咬合面全体の均等な管理が難しくなることがあります。
これにより、開咬の矯正が中途半端に終わってしまう場合もあります。
3. 審美と快適さの面での制約
ワイヤー矯正は、見た目が目立つため、特に成人患者に対して心理的な抵抗感を引き起こすことがあります。
また、取り外しができないため、食事やコミュニケーション時に不便を感じることも多いです。
💡結論
総じて、オープンバイトの治療においてアライナーは、その全体的なコントロール能力、力の分散、安全性、快適性において優れた選択肢であり、特に咬合面の包括的な管理が期待できます。
こうした点から、オープンバイトに対してはアライナーが優れた症例であると考えられます。
ただし、患者の個々の状態や治療目標に応じて最適な治療法を選ぶことが重要です。
矯正治療を行う際には、歯科医院での適切な診断とアプローチが不可欠です。
参考文献
Lopez-Gavito G, Wallen TR, Little RM, Joondeph DR. Anterior open-bite malocclusion: a longitudinal 10-year postretention evaluation of orthodontically treated patients. Am J Orthod. 1985;87(3):175-186.
(オープンバイトの長期的な治療評価に関する研究)Janson G, Valarelli FP, Henriques JFC, de Freitas MR, Cançado RH. Stability of anterior open-bite extraction and nonextraction treatment in the permanent dentition. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2006;129(6):768-774.
(オープンバイト治療後の安定性比較)Kim YH. Anterior openbite and its treatment with multiloop edgewise archwire. Angle Orthod. 1987;57(4):290-321.
(ワイヤー矯正によるオープンバイト治療に関する研究)Khosravi R, Cohanim B, Hujoel P, et al. Management of open bite in orthodontic patients: A systematic review. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2017;151(3):478-488.
(オープンバイト治療に関する最新のシステマティックレビュー)Kravitz ND, Kusnoto B, Agran B, Viana G. How well does Invisalign work? A prospective clinical study evaluating the efficacy of tooth movement with Invisalign. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009;135(1):27-35.
(アライナー矯正の効果に関する研究)
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